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学会案内形の科学会 Society for Science on Form, Japan

会長挨拶

私が調査に参加している久慈市の現場 (今から約9000万年前の地層) から発見された亀が新種であることが最近報告されました. 主要な部位の形が異なることが新種である決め手になっています. また私の専門分野の先駆者のポアンカレ, バーコフ, スメールといった研究者は幾何学的な手法を証明で利用しています. このように分野は異なっても多くの研究者は「形」を利用しています. 「形の科学会」は「形」に興味をもつ様々な専門分野の研究者の集まりとして発足し現在に至っています.
専門分野の異なった研究者が議論する場として, 形の科学のシンポジウム (年2回)と形シューレ (年1回) を開催しております. シンポジウムでは「ジュニア会員」の参加も可能です. 今後, 多くの人が気軽に参加して議論できる場を提供してまいります. 新型コロナ禍のために従来の対面式とインターネットを利用した方式を併用してシンポジウム等を行ってまいります. この件につきましては皆様のご理解とご協力をお願いいたします.
欧文誌「FORMA」と和文誌「形の科学会誌」には, 会員のみならず会員でない方々の投稿も受け付けております.
皆さまの, 形の科学会への参加をお待ちしています.

形の科学会会長 山口 喜博

形の科学会設立の趣意

自然の探求や,技術的な研究の場において,物の形が問題になることがしばしばあります.結晶の形,コンクリートや合金内部の立体構造,球の充填構造,地形形成等,その例は数多くあります.これらに共通の点は,多数の要素から成り立ち,それらが複雑な配置をとっていることです.集合体の典型である生物や,体内の器官についても,機能と形が密接に関係していることは疑いありません.それらの働きを研究するときは,形を定量的に記述する方法を探る必要があります.さらに,画像処理やパターン認識の技術が,しばしば必要になりますので,形の科学は情報という概念を含むことになります.また,都市や地域などのような社会構造も,形と関連しております.形の科学会は,このような研究を通して,研究対象で分類される従来の科学の枠組みを越えて,「形」という概念を中心とした学際的な科学の確立をめざしているのです.


形の科学会前史

本会の結成にいたる前には,「ステレオロジー」と「形の物理学」という2つの独立した流れがありました.ステレオロジーとは,3次元の立体構造を,その断面における測定データから再構築する技術です.すでに,International Society for Stereology という国際組織もできています.最近は,このような狭義の技術体系にとどまらず,「構造」と「機能」を橋渡しする科学という方向に向かっています.過去の国際会議には,日本からも,生物学,医学,粉体工学,土木工学等の研究者が参加しています.「形の物理学」は,1980年の京都大学における研究会以来,数学,物理学,化学,生物学,地形学,建築学,都市計画等の研究者によって,研究グループが形成されました.そこには,例えは河川と樹形のように,異なる対象によく似た形が現れる背後には,何等かの共通の法則性があるという認識が持たれています.そして,形から真理を読み取るような基礎科学をめざして,研究会を行ってきました.これら二つの潮流が,筑波大学生物科学系教授の石坂昭三氏の主導で合流して, 1985年3月に結成されたのが形の科学会です.英語名はSociety for Science on Form, Japan です.


なぜ形なのか

形は,すべての学問分野に登場します.形は,技術開発においても重要です.例えば,樹木の形について,生物学者,道路の設計担当者,血管系をあつかう医者が議論することもあります.形は,コミュニケーションのための一種の言語なのです.そこから,新しい学問が芽生えることが期待されます.ウェーゲナーは,南北アメリカとアフリカの海岸線の形に着目して,大陸移動説を唱えました.それが,今日のプレートテクトニクスに発展しています.もっと古くは,惑星軌道について法則を発見したケプラーがいます.彼はプラトンの正多面体に代表きれる立体幾何学が大好きで,それを基にした宇宙モデルを提唱しております.実は,このモデルが法則の発見につながったのです.今後も,形に対する興味が大きな発見のきっかけを与えるかも知れません.


形の科学会の特色

現在,形の科学会が含む分野は,大まかに次の4つに分類されます.それらは,図に示すように,互いに関連し,形の総合的な理解へ向かっています.形の科学会の特色

空間の性質

多角形や多面体の性質,空間の分割や充填,結晶,準結晶,細胞配列,地域の解析,等.

形態形成の機構

物理学,化学,生物学,医学,地形学,等の現象における,形の生成の機構.

形の計測

画像データの解析,2次元情報からの3次元形の再構築に関する技術,等.

設計,アートへの応用

上記の基礎的な研究を,建築,都市工学,アート,等へ応用すること.あるいはその基本的な考え方.


形の科学会 歴代会長

氏名 任期
石坂昭三
 (ISHIZAKA SHOZO/筑波大学)
1985-1987
高木隆司
 (TAKAKI RYUJI/東京農工大学)
1988-1995
小川 泰
 (OGAWA TORU/筑波大学)
1996-1999
徳永英二
 (TOKUNAGA EIJI/中央大学)
2000-2003
本多久夫
 (HONDA HISAO/神戸大学)
2004-2007
松岡 篤
 (MATSUOKA ATSUSHI/新潟大学)
2008-2011
種村正美
 (TANEMURA MASAHARU/統計数理研究所)
2012-2015
宮本 潔
 (MIYAMOTO KIYOSHI/獨協医科大学)
2016-2020.12
山口喜博
 (YOSHIHIRO YAMAGUCHI/元帝京平成大学)
2020.12-

※月表示のないものは6月始まりです。



名誉会員(敬称略)Honorary Members – Society for Science on Form

名誉会員は、形の科学の発展に多大なる貢献をされ、運営委員会において推薦され総会において承認された者に対する称号です。

小川 泰(おがわ・とおる/OGAWA TORU)
川合 敏雄(かわい・としお/KAWAI TOSHIO)
高木 隆司(たかき・りゅうじ/TAKAKI RYUJI)
種村 正美(たねむら・まさはる/TANEMURA MASAHARU)
徳永 英二(とくなが・えいじ/TOKUNAGA EIJI)
本多 久夫(ほんだ・ひさお/HONDA HISAO)
三浦 公亮(みうら・こうりょう/MIURA KORYO)
宮崎 興二(みやざき・こうじ/MIYAZAKI KOJI)

石坂 昭三(いしざか・しょうぞう/ISHIZAKA SHOZO)
出原 栄一(いづはら・えいいち/IZUHARA EIICHI)
川口 衞 (かわぐち・まもる/KAWAGUCHI MAMORU)
戸田 盛和(とだ・もりかず/TODA MORIKAZU)
中村 義作(なかむら・ぎさく/NAKAMURA GISAKU)
長谷田泰一郎(はせだ・たいいちろう/HASEDA TAIICHIRO)
森 肇  (もり・はじめ/MORI HAJIME)
渡辺 泰成(わたなべ・やすなり/WATANABE YASUNARI)
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